アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎
【症状】
アレルギー性鼻炎の3大症状 ・くしゃみがたてつづけに何度も出る発作性反復性のくしゃみ ・透明で水のような鼻水が止まらない水性鼻漏 ・鼻がつまる鼻閉
アレルギー性鼻炎はカゼもひいていないのに、くしゃみ、鼻水、鼻づまりが起こるのが特徴です。これは気管支喘息と同様、Ⅰ型アレルギーと呼ばれるタイプのアレルギーが原因で発症すると考えられ、日本人の約5人に1人がアレルギー性鼻炎であると推定されています。アレルギー性鼻炎には、症状が一年中現れる通年性アレルギー性鼻炎と、ある季節にだけ現れる季節性アレルギー性鼻炎があります。例えば、花粉が飛ぶ季節にだけ症状が現れる花粉症などが、この季節性アレルギー性鼻炎に分類されます
アレルギー性鼻炎の症状は、日常生活に支障をきたす非常に厄介なものです。くしゃみや鼻水が止まらないため、集中力が低下したり、夜眠れなくなったり、何度も何度も鼻をかむことによって、鼻の頭が真っ赤にすりむけたりします。また、鼻づまりがひどくなると、口呼吸を余儀なくされ、そのためにのどが渇いて様々な病気の原因になるとも言われています。さらに目やのどのかゆみ、頭重感、イライラなどの症状がでることもあります。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状は、通常朝夕に強く現れます。それはアレルギー性の症状というものが、夜から朝にかけて体を休めるときに働く副交感神経が活発に働くときに起こりやすいためです。また、小児アレルギー性鼻炎では、その20%程度に喘息の合併があり、また逆に小児喘息においては、その60%にアレルギー性鼻炎を合併していたという報告もなされています。
【原因】
アレルギー性鼻炎の症状であるくしゃみ、鼻水、鼻づまりは、本来、異物を体内に入れまいとする身体の大切な防御機構の一つです。くしゃみで異物を吹き飛ばし、鼻水で洗い流し、鼻がつまってそれ以上異物を中に入れまいとするわけです。しかし、アレルギー性鼻炎の場合、これらの反応が過剰に起こってしまうのです。他の人が異物と感じないものまで異物と認識してしまい、その結果、過剰な症状をひき起こしてしまうのです。
アレルギー性鼻炎を起こす原因抗原(アレルゲン)は、空気中に浮遊し、呼吸によって体内に入ってきます。大雑把に分けてみると、約60パーセントが室内のゴミやダニ、ペット類の毛などのハウスダストで、約30パーセントが花粉、残りの約10パーセントがカビなどです。
ハウスダストが原因でアレルギーが起こる場合、窓を閉め切って暖房をする冬に、症状が出やすくなります。特に、最近の気密性の高い居住環境はより、ハウスダストがつねに飛び回っている状態となり、その傾向を強める原因となっています。加えて、冬場の空気の乾燥、大気汚染、ストレス、食生活の変化なども症状を悪化させる要因と言われています。
アレルギー性鼻炎の原因抗原の分類
|
花粉 |
イネ科・・・オオアワガエリ、カモガヤ、ホソムギ、ハルガヤ、オオムギなど 雑草・・・ブタクサ、ヨモギ、クワモドキ、カナムグラなど 樹木・・・スギ、ヒノキ、カエデ、ブナ、ヤナギ、カシなど |
|
ハウスダスト |
ダニ、犬・猫・取りなどのペットの毛や羽、羊毛、綿花など |
|
カビ類 |
ペニシリウム、クラドスポリウム、カンジダ、アルテルナリアなど |
|
その他 |
そば粉、小麦粉、おがくず、きのこの胞子など |
アレルギー性鼻炎の通年・季節性による原因抗原の分類
|
鼻アレルギーの分類 |
原因抗原 |
|
通年性鼻アレルギー |
ダニ、ハウスダスト(ほこり)が主 |
|
季節性鼻アレルギー |
1~4月;スギ 初夏;カモガヤを中心としたイネ科植物 |
【治療法】
治療に関しては、ガイドラインが作成されています。まずは十分に症状、アレルギー反応を抑えて、徐々にステップダウンしていく方針がとられます。
・薬物療法
薬物療法は最も一般的に行われている方法です。抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、ステロイド点鼻薬等が主に使用されます。抗ヒスタミン薬は速効性が有りくしゃみ、鼻みずに効果がありますが、眠気、口渇等の副作用があるため、現在ではヒスタミンの産生・放出を抑える、比較的副作用の少ない、ケミカルメディエーターブロッカーと呼ばれる薬物が用いられるようになっています。抗アレルギー薬はやや遅効性でくしゃみ、鼻みずに加えて鼻づまりにも効果があり、副作用は比較的少なくなっています。ステロイド点鼻薬は効果発現がやや早く、鼻づまりにも有効で全身的な副作用はほとんどありません。これらの薬を症状に応じて使い分けているのが現状です。また、漢方薬、抗コリン点鼻薬も効果が認められています。急性の閉塞症状があるばあいは血管収縮薬を用いることもあるが、薬剤性鼻炎の原因となるため、使用は1週間程度にとどめます。ただ、これらはあくまで症状を抑えるための治療(対症療法)ですので、薬物により根本的に治療はなされないことを念頭に置く必要があります。
薬剤と効果1
|
経口抗ヒスタミン薬 |
鎮静作用がないといわれる第三世代抗ヒスタミン薬であるアレグラや作用発現のはやいジルテックがよく用いられる。アレグラ1日2回60mgやジルテック1日1回10mg程度で十分である。 |
|
抗アレルギー剤 |
アレルギー反応が起こるときに体内の細胞から化学伝達物質(ヒスタミンなど)が出ることや、出た後に生じる働きを抑えて症状が出るのを防ぐ。飲み薬と点鼻薬(てんびやく)がある。効果が出るまでに2週間ぐらいかかる。 |
|
経口抗ロイコトリエン薬 |
オノンが用いられることが多い。喘息の合併がある場合はシングレアやキプレスも用いることができる。鼻閉に対しては抗ヒスタミン薬よりも有効であるが点鼻ステロイドよりは効果が落ちるといわれている。作用発現に2週間ほどかかるため、持続的鼻閉感を訴えるアレルギー性鼻炎の患者で好んで用いられることが多い。オノン10mgを就寝前に飲むことが多い。 |
|
点鼻抗ヒスタミン薬 |
眼症状がない軽症の患者や経口薬を増やしたくない時に用いる。ザジテン点鼻薬が良く用いられる傾向がある。 |
|
点鼻ステロイド薬 |
初期は定期的に処方し、症状が落ち着いたら頓用に切り替える。抗ヒスタミン薬と併用することで使用量を減らす場合が多い。フルナーゼを一日2回使用する。 |
|
ステロイド薬 |
粘膜の炎症を抑える、抗体が作られるのを抑えるなど、多岐にわたる作用がある。飲み薬と点鼻薬がある。 |
|
血管収縮薬 |
ナーベルという薬がよく用いられる。肥厚性鼻炎の原因となるため1週間以上の使用は推奨されない。通常は3日間の使用で十分である。ナーベルは1日3回まで1回につき2プッシュという制約がかかることが多い。鼻の粘膜の血管を収縮させて鼻づまりを解消させる。 |
|
点鼻抗肥満細胞薬 |
作用時間が短いため就寝前、起床時、外出30分前を含め、1日6回投与する。インタールスプレーがよく用いられる。小児では扱える抗ヒスタミン薬が少ないためよく用いられる傾向がある。 |
薬剤と効果2
|
薬剤のタイプ |
鼻漏 |
鼻閉 |
くしゃみ |
かゆみ |
眼症状 |
|
経口抗ヒスタミン薬 |
++ |
± |
++ |
++ |
++ |
|
経口抗ロイコトリエン薬 |
+ |
++ |
+ |
+ |
+ |
|
点鼻抗ヒスタミン薬 |
+ |
± |
+ |
+ |
- |
|
点鼻ステロイド薬 |
++ |
++ |
++ |
++ |
+ |
|
点鼻血管収縮薬 |
- |
++ |
- |
- |
- |
|
点鼻抗コリン薬 |
++ |
- |
- |
- |
- |
|
点鼻抗肥満細胞薬 |
+ |
+ |
+ |
+ |
- |
・抗原特異的減感作療法(特異的免疫療法)
原因となっている特定の抗原のエキスを、低い濃度から皮内注射し、次第に濃度を上げていくことで、抗原抗体反応を起こりにくくさせる療法です。2~3年の長期にわたる通院が必要なことと、ごく稀に呼吸困難、血圧低下、脈拍低下等のショック反応のような全身的副作用が生じることがあるためにあまり普及していません。有効率は70~80%と言われています。しかし、薬物療法の様な対症療法とは異なり、現在のところ長期寛解、治癒が期待できる唯一の方法と言われ、アレルギー性鼻炎に対する基本的治療法といわれています。
・手術療法
鼻茸、鼻中隔彎曲症等を合併し強い鼻づまりがある場合は、それらを取り除くための手術を行います。また、薬物療法等で鼻づまりの改善がみられない場合にも手術を行うこともあります。この場合は、粘膜を切除する手術、電気で粘膜を灼いてしまう手術、薬剤で粘膜を変性させる手術、粘膜を凍結させて変性させる手術、レーザーで粘膜を灼いてしまう手術等がありますが、現在は炭酸ガスレーザーを用いて鼻の粘膜の表面のみを灼く手術が主流です。この方法は外来手術で可能で、疼痛、出血等の合併症もほとんどみられません。有効率は80%前後です。
予防
アレルギー性鼻炎に対して、アレルゲンを吸い込まない予防対策も大切です。室内では掃除、換気を励行し、カビが生じやすい浴室、洗面所、台所などの水回り、窓ガラス、押入れ、下駄箱、畳などの湿気の多いところの換気に気をつけます。エアコンや加湿器・除湿器もクリーニングが必要です。ペットのアレルギーも近年増えていますので、ひどい症状がある場合には飼育を諦めた方がよいでしょう。花粉症の方は、その飛散時期の外出時にマスクと眼鏡を装着するなど、花粉の吸入を避ける工夫をします。
その他、たばこの煙は鼻の粘膜の刺激になり、症状を悪化させるので、たばこの煙を遠ざけたり、鼻の粘膜には適度な湿り気が必要なので、空気が乾燥しないように冬場などは、加湿器を使用するのも良いでしょう。また、適度な運動や乾布摩擦などは自律神経の働きを高める効果があり、症状を起こりにくくします。そして、
食事も、ビタミンやミネラルをたっぷり含む野菜などを取り、栄養的にバランスのよい食事を摂ることも大切です。