花粉症
花粉症
【症状】
花粉症は、「季節性アレルギー性鼻炎」、もしくは「季節性アレルギー性結膜炎」とも呼ばれ、スギやヒノキなどの植物の花粉が原因(アレルゲン)となって、鼻みず・くしゃみ・鼻づまり、目の充血やかゆみ、流涙などの諸症状を惹き起こす、アレルギー性の病気です。その症状や度合いは人によってさまざまで、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などとセットでかかってしまう人が少なくありません。
主な症状
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鼻炎による症状 |
・鼻の三大症状といわれるくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状がよく見られる。透明な鼻水が大量に出て、そのため、鼻を常にかむ必要があり、これが鼻のまわりの皮膚にも赤みや乾燥などの影響を与えてしまう。 ・鼻づまりによって匂いが分からなくなることがある。 ・鼻づまりによって口呼吸を余儀なくされ、そのため喉の障害が引き起こされることも多い。 ・後鼻漏と呼ばれる喉に流れる鼻汁により、喉がイガイガしたり、咳や痰が出たりすることがある。また、後鼻漏による鼻水が気道に入ると気管支炎の原因ともなり得る。 ・小児の場合、痒みなどから鼻をいじることが多く、鼻血の原因になることも少なからずある。 ・副鼻腔炎などが合併することがある。これは鼻汁が粘度の高いものになり、眉間や目の下など、顔の奥の部分に重い痛みなどを感じることが多い。 |
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目に表れる症状 |
・目のかゆみ、異物感、涙目、充血、目やにといった症状が起こる。我慢ができないほど痒くなり、つい目を擦ってしまったりすることにより目の腫れがさらに悪化したり、目を傷めてしまったりすることもある。 ・不適切にコンタクトレンズを使用している場合、巨大乳頭結膜炎などにもなり得る。 ・目の周りや目の下などが炎症する。これは花粉症皮膚炎と呼ばれることもある。 |
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精神的な症状 |
・鼻や目の違和感や不快感が原因で、イライラしたり、憂鬱になったり、集中力が低下したりする。また、睡眠不足や食欲不振等に陥ることも多い。 |
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その他の症状 |
・喉や耳の奥、あるいはからだが全体が痒くなることがある。 ・下痢や体のほてりなどが現れることがある。 ・頭痛や頭重感、微熱やだるさなどの全身症状を呈する場合もある。ニセアカシアなどの花粉症では症状が比較的重く、これらの症状を示す場合が多い。 ・口から入った花粉や花粉を含んだ鼻水を飲み込むことにより、下痢・吐き気・腹痛などの消化器症状が出る場合がある。 ・花粉の種類と量によっては、まれにアナフィラキシーショックを起こすこともある。 ・呼吸が苦しくなる。 ・手足がむくむことがある。 ・喉に不快感が出る。 |
花粉症は季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれているほどですから、限られた季節だけに生じるものと思われがちですが、実際のところ花粉症は一年中ずっと見られる症状です。というのは、60種類以上の花粉が関係しているから、季節にかかわりなくいつでも生じうるのです。また、花粉症は突然生じることでも知られています。つい昨年までは何もなかったのに、突然鼻水がとまらなくなったり、喉の奥が無性にかゆくなったりするなどの花粉症の症状を呈するようになるのです。
モーニングアタック
俗にモーニングアタックといわれる、明け方に強く症状が出ることがあります。これは就寝中に吸い込んだ花粉が目覚めとともに症状を引き起こしたり、副交感神経から交感神経への自律神経の切り替えがスムーズにいかないのが原因と考えられています。アレルギー性の症状は、リラックスしているときや、夜身体を休めるときの副交感神経が優位となるときに症状が出やすいからです。
症状の個人差
患者により、くしゃみや鼻水がひどいタイプと、鼻詰まりがひどいタイプ、両方ともひどいタイプに分けられます。症状の程度も個人差があります。したがって、症状のタイプや重症度により、治療方法や、薬の量なども違ってきます。目に症状が表れる場合も同じです。また、花粉の飛散量が増えれば、単純に症状も悪化すると思われがちですが、飛散量が少量であっても連続すると重症化していったり、いったん最重症化すると、少しの花粉量の変化では症状がなかなか改善しなくなる傾向があります。その場合、花粉飛散期が終了しても、症状がすぐにはおさまらないというになります。
【原因】
花粉症の原因となるのは、様々な種類の花粉です。その種類は、60種類以上はあると言われています。日本でもっとも多いといわれているのは、スギ花粉による花粉症です。花粉症患者のほとんどがこのスギ花粉に反応するとも言われているそうです。このスギ花粉は300キロメートル以上の飛散距離を持つとも言われていますので、近くに杉林などがない都市部でも、多くの患者がいるのです。
次に主な原因とされる花粉がヒノキ花粉です。ただ、このヒノキ花粉に反応する人の多くは、スギ花粉にも反応すると言われています。統計によると杉花粉に反応する人の70-80%程度の人は、ヒノキ花粉にも反応するようです。つまり、花粉症の人は一種類の花粉だけが原因ではなく、いくつかの複合的な花粉に対する反応となっている場合も多いということです。このため、花粉症の症状がでる時期にも違いが生じてくるということになります。
その他、イネ科、ヨモギ、ブタクサなどの花粉に反応する人も少なくありません。北海道などでは北海道独特の木でもあるシラカバの花粉が原因となって花粉症を患っている人も少なくありません。
花粉症の発症する時期
それぞれの花粉の飛散時期を知り、自分が花粉症にかかる時期を当てはめていくと、自分の症状がどの花粉に反応しているのか、おおまかな原因を探し当てることが可能になります。そして、その花粉が飛散する時期を知っておけば、あらかじめ対処することもできます。下記に主な花粉症の原因となる花粉の飛散時期を記載してみましょう
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スギ花粉 |
北海道 3月中旬から-5月中旬 関東、関西、九州 1月初旬から5月中旬 |
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ヒノキ花粉 |
北海道 4月初旬から5月下旬 関東 1月中旬から6月中旬 関西 2月中旬から5月下旬 九州 3月初旬から6月中旬 |
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イネ科の花粉 |
北海道 5月中旬から10月中旬 関東 ほぼ通年(1月初旬から2月中旬を除く) 関西、九州 ほぼ通年 |
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ブタクサ属の花粉 |
北海道 9月上旬のみ 関東 7月下旬から12月下旬 関西 8月中旬から10月下旬 九州 9月上旬から10月下旬 |
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カナムグラ |
北海道 9月上旬のみ 関東 8月中旬から11月下旬 関西 9月上旬から11月初旬 九州 8月下旬から11月初旬 |
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ハンノキ属 |
北海道 3月下旬から6月中旬 関東 1月初旬から6月下旬 関西 1月初旬から6月中旬 九州 1月初旬から6月初旬 |
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シラカバ |
北海道 3月下旬から6月下旬 関東 4月中旬から6月下旬 関西、九州 なし |
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ヨモギ属 |
北海道 8月中旬から9月中旬 関東 8月中旬から11月中旬 関西 7月中旬から11月中旬 九州 7月下旬から11月中旬 |
花粉症と大気汚染
花粉症は大人だけではなく、子どもの間にも広がっています。スギやヒノキの花粉は昔からあったことを考えると、近代社会において花粉症がこれだけ増えているのは、原因が花粉そのものにあるというよりも、人間側の反応に問題があるのかもしれません。花粉にしても、ほこりやダニにしても、それが体に入ってこないように、くしゃみや鼻水が出ることは人間の持つ自然な防御機能です。しかし、あまりにも汚染された空気にさらされていたり、自然サイクルが破壊された環境で生活していると、いままでは反応する必要のなかったものにまで、それが異物であると過剰に反応をしてしまうのです。
本来、自然と身近に接して生きていると、人間の体はどれが異物で危険なものかを正しく理解できるようになります。そのことを証明するように、比較的大気汚染が広まっていない自然の豊かなところで過ごしている人は、スギに囲まれていたとしても、花粉症にかかる率が低いということが観察されています。また、実際に都会から田舎に移転してしばらくすると花粉症がよくなったという人もいるようです。
【治療】
検査
花粉症ではないかと感じたならば、病院で検査をしてもらうことが良いでしょう。というのも、自分で勝手に花粉症とは思ってはいても、花粉症ではなくほかに原因がある場合もあるからです。病院では、アレルゲンが何かを検査することになります。検査の方法には、皮膚反応検査や鼻粘膜による花粉症の検査、あるいは血液検査による花粉症の検査などがあります。
一般療法
・ストレスを避け、十分な睡眠をとる。
過労や精神的なストレスはアレルギー症状のきっかけになったり、症状を悪化させたりすることがあります。
不規則な生活を避け、十分な睡眠をとり、お酒やタバコもできるだけ控え目にすると良いでしょう。
・風邪をひかないようにする。
風邪をひくと、花粉症の症状を悪化させることがあります。というのは、風邪をひくと、鼻の粘膜が荒れて、体内への花粉の進入を阻止する物質の分泌が減ってしまうのです。だから、風邪を引かないように注意することが必要です。
薬物療法
現在病院などで行われている花粉症の治療方法は、抗アレルギー薬を使用する薬物療法が基本になっています。使用する薬も花粉症の症状の程度で違ってきます。花粉の本格的な飛散が始まる前の、症状が出る前から治療を始めると、花粉症の予防効果もあり作用の穏やかな薬でも高い効果を得られますが、既に花粉症の症状が出てしまっている場合は、一時的に即効性の薬を通常使用する薬と併用したりします。
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第1世代抗ヒスタミン薬 |
・最も代表的な花粉症の治療薬。 ・ヒスタミンが鼻の粘膜にてヒスタミン受容体と結合するのを阻害し、くしゃみや鼻水の分泌を抑える。 ・即効性がある。 ・眠気やのどの渇きなどの副作用が出やすい |
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第2世代抗ヒスタミン薬 |
・第1世代抗ヒスタミン薬で起こる眠気、口の渇きなどの副作用が非常に少ない。 ・メディエ-タ遊離抑制作用も併せ持つ。 ・花粉症の初期(花粉飛散前)から終期(花粉飛散終了時期)までの服用が一般的になっている 。 |
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メディエ-タ遊離抑制薬 |
・アレルギー反応に関わる化学伝達物質を抑制する。 ・IgE抗体がマスト細胞(肥満細胞)に付着した後、ヒスタミンなどがマスト細胞から放出されるのを抑制します。 ・抗原抗体反応が起きても、肥満細胞からヒスタミン・ロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出されるのを抑える。 ・充分な効果が期待できるのに2週間位の期間が必要。 |
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ステロイド薬 |
・ステロイド薬は一般に効果が強く、効果が現れるのが早い。 ・アレルギー反応を一時的に抑制して炎症を止める、副腎皮質ホルモン薬があり、症状が現れる部位より内服薬、点眼薬、点鼻役を使い分けます。 ・ステロイド薬は、アレルギーのメカニズムのほとんどを抑制する。 ・抗炎症作用も強く、多くはこの作用を期待して用いられる。 ・免疫を減弱させ、不必要に長期投与すると他の感染症を招いたり、体内のホルモンバランスが崩れ重い副作用や後遺症が現れたりすることがある。 ・副作用だけでなくステロイド離脱困難に陥ることがある。 ・特に小児に長期投与を行うと成長障害など重大な副作用が起こる可能性がある。 |
花粉症と点鼻薬
薬局で購入でき、即効性が期待できるものとして、血管収縮剤が入った点鼻薬がよく使われます。常用していると、気づかない間に鼻粘膜の変化を起こし、難治性の鼻炎(慢性化)につながることもあるため適切な指示により使用することが大切です。
花粉症と点眼薬
目の症状をともなう場合には点眼薬の使用が効果的です。抗アレルギー作用を持つ点眼薬と抗アレルギー作用+抗ヒスタミン作用を持つ点眼薬があります。花粉が飛散する1ヶ月位前から使用開始し、調子のよいときには1日の使用回数を調節します。症状がひどくなる時期には、抗炎症作用や血管収縮効果のある点眼薬(目の充血、かゆみに直接作用する)と併用したり、内服薬を併用したりします。また、薬を使う前には、目を流水で洗うことを心がけます。というのは、空気中のほこりや花粉はまつげにつきやすく、まずはほこりや花粉を除くことが大切だからです。
減感作療法
症状が重い場合は、免疫システムそのものに働きかける減感作療法という治療法があります。これは、原因である花粉症の成分を少しずつ注射し、免疫システムを徐々に慣れさせて、体質改善により過剰反応を抑える治療法で、免疫療法とも言います。減感作療法は治療期間が長くかかりますが、花粉症を完治できる可能性がある治療法として知られています。ただ、体質改善のために2年以上続けることが必要とされているため、それほど普及していません。
レーザー手術
炎症を起こす鼻の粘膜をレーザーで焼くもので、両鼻で20分もあれば終了します。術後は花粉に反応しにくくなりますが、粘膜はやがて再生するので、効果の持続は1~2年程度になります。その場合、レーザーを再照射すればほとんど大丈夫です。 1996年4月からこの治療法は健康保険が適応になったため、両鼻で1万円程度で手術が可能です。
花粉症の予防対策
花粉症の症状はアレルゲンと接触しなければ、花粉症の症状は現れません。このため花粉との接触を断つことがもっとも効果的な対策だと言われています。また、アレルゲンとの接触をできるだけ避け続けるようにすると、年を経るごとに抗体値がだんだんと下がっていくことが期待されます。逆に、接触を続けていれば抗体値も上がり、症状もひどくなります。つまり、こうしたセルフケアはもっとも基本的なことといえます。
アレルゲンに接しないために、外出時にゴーグルやマスクを着用すると効果的であります。
室内に花粉を持ち込まないよう、花粉の付着しにくい上着を着用したり、帰宅時に玄関の外で花粉を落としてから入室するなどの対策も有効だと言われています。また、花粉が飛散している時期は、窓を開けたり、洗濯物や布団などを屋外に干すことは避けるほうがよく、干す場合は取り込むときによくはたいたり、掃除機で吸い取るよ良いでしょう。さらに部屋の掃除は、床の花粉を舞い上げないよう、掃除機ではなく濡れぞうきんによる拭き掃除が推奨されています。