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中耳炎

中耳炎

 

 

鼻の奥の部分と「中耳」とは、「耳管」という細い管でつながっています。中耳炎は、主に風邪などの炎症が原因で膿が鼻の奥の方にある耳管を通って中耳に感染すると起こります。子どもは耳管が短く、傾斜もなだらかなため、細菌が中耳に到達しやすくなっています。そのため中耳炎は、5、6歳までの子どもに、風邪の合併症として非常に多い病気です。中耳炎は主に、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎の三つに分けられます。

 

 

急性中耳炎

 

 

急性中耳炎は一般的には風邪、ときにはアレルギーによる鼻やのどの炎症につづいて起こることが多く、小児、とくに生後6か月から2歳くらいの間にかかりやすい病気です。成人の85%は幼少期に急性中耳炎にかかった経験をもつといわれるほど頻度の高い病気と言われています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

症状

 

 

中耳炎になると、まず耳の詰まった感じがして、次に脈を打つような、あるいはズキズキとした耳の痛みを伴います。小児では38度前後の発熱を伴うことがありますが、大人の場合は熱が出ないことが多いようです。また、大人では風邪の時、強く鼻をかんだあとにおこることが多いようです。

 

中耳の中にうみが充満し、鼓膜をみると、発赤・腫れが認められます。それを放置すると自然に鼓膜が破れます。その寸前が耳痛のピークとなります。その後、耳痛や発熱は改善されることが多いのですが、今度は耳漏(耳だれ)が出はじめます。耳痛が軽くなっても、中耳炎がよくなったといえない場合もあるので注意が必要です。また、中耳炎を起こした細菌がたちの悪い場分、あるいは中途半端に治療を中止した場合などでは、慢性中耳炎や浸出性中耳炎に移行することもあります。

 

乳幼児では、夜泣き・不きげん・耳によく触る、原因の分からない発熱などの症状が見られる場合、中耳炎であることが少なくありません。言葉が話せない小さな子どもの場合は、うまく症状を伝えることができませんので、子どもの様子をチェックして早く察知してあげることが大切です。特に、夜間に急に子どもが泣き出したときには、中耳炎を疑ってみましょう。

 

 

 

 

 

原因

 

風邪が原因になることが多い中耳炎ですが、鼻やのどに付着したウィルスや細菌が、耳管という細い管を通って中耳に入り、感染することによって発症します。起炎菌でいちばん多いのは肺炎球菌、ついでインフルエンザ菌、連鎖球菌などです。急性中耳炎は、子供の感染症の中で、最も多いものの一つです。特に乳幼児では、感染に対する抵抗力が弱く、耳管が十分に発達していないため、ウィルスや細菌が侵入しやすく、急性中耳炎が起こりやすくなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

治療

 

急性中耳炎は、基本的には3日ほどで自然軽快するため、身体を安静にし、抗生物質の投与は不要です。しかし、3日以上長引く場合には抗生物質による治療が必要になります。耳痛に対しては耳の後部(乳突部)の冷罨法や鎮痛剤の投与を行います。鼓膜の膨隆があるときは積極的に鼓膜切開を行うのが良いでしょう。小さな切開ですので、聴覚に影響を及ぼすことはありまえん。鼓膜切開後の穿孔は23日で閉鎖し、穿孔を残すことはありません。しかし、鼓膜が破れて、自然に生じた穿孔は永久的に残遺したり、中耳炎の慢性化の原因になることもあるようです。

 

経過が順調な場合、23週間で鼓膜穿孔や難聴を残さず治癒します。合併症としては乳突洞炎、内耳炎、顔面神経麻痺、ときには頭蓋内に化膿性疾患をおこすこともあります。合併症のおこる危険があるときは手術を行います。

 

急性中耳炎は放っておくことなく、すぐに正しい治療を受けてさえいれば、それほど恐ろしい病気ではなくなっているといえます。しかし、一旦慢性化すると治りにくく、難聴や、危険な病気へと発展することもありますので、油断大敵です。

 

 

 

 

滲出性中耳炎

 

 

滲出性中耳炎は中耳に液体(浸出液)が溜まって、次第に難聴になっていく病気で、近年急に多くなってきています。急性中耳炎が完全に治癒せずにこの状態に移行することもありますし、アレルギー体質が関係することもあるようですが、原因はまだはっきりとわかっていないものも多いと言われます。10歳以下の小児に発症することが多いですが、高齢者や中年以降の成人でも少なくありません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

症状

 

 

熟も痛みも耳鳴りもありませんが、耳のつまった感じが起こり、聴こえがわるくなるのが特徴です。また、自分の声が耳の中で響く感じがしたり、耳の中で水の音がしたりすることもあります。これは、中耳の炎症によって、浸出液が溜まってしまうのが原因で、中耳腔にこのような液体がたまると、鼓膜や耳小骨の動きがわるくなり、外耳道を伝わってきた音が鼓膜から耳小骨そして内耳へときちんと伝わらなくなり、聞こえが悪くなるのです。

 

中耳に溜まった浸出液は病気の長さや程度によっても違いますが、小児では粘液性、高齢者では漿液性のものが多くみられます。また、小児の場合、細菌が検出されることもあります。

 

小児では学校の成績が悪いとか、注意力散漫などと間違われていることがよくあります。子どもは、ことに幼児では自分から症状を訴えることは少ないので、生活の中で徴候のサインを見逃さないようにしましょう。

 

・テレビの音を大きくする。大きな声でおしゃべりする。

・呼んでも返事をしない。

・赤ちゃんで、よくカゼをひき、機嫌が悪い。

・よく耳をさわる。

・以前に中耳炎を起こしたことがある場合、カゼの後に咳や鼻汁、鼻閉が数日以上長引く時は中耳炎を再発していることがよくある。

・中耳炎を一度起こすと治り難い場合、滲出性中耳炎が奥底に隠れ

 ていることがある。

・3歳以上の子供ではときどき耳の軽い痛みを訴えることがある。

 

 

 

 

 

 

原因

 

 

原因としては、耳管のはたらきが不良であることや、中耳炎の繰り返しが考えられています。アデノイドや扁桃の肥大により、耳管の鼻の方の入り口が圧迫されて狭くなると、中耳の空気の出入り口が悪くなり、中耳腔の気圧の調節がうまくできなくなります。すると、中耳腔に閉じ込められた空気が吸収されて、かわりに浸出液が粘膜からしみ出てくることになります。

 

ハナすすりや、鼻の炎症、上咽頭の炎症が原因になっていることが多いようです。急性中耳炎の不完全治癒や繰り返しなども浸出性中耳炎の成因になります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

治療

 

治療としては原因疾患の治療を行い、耳管に空気を送ったり、浸出液の吸引などが行われます。滲出性中耳炎にはさまざまな段階があり、患者さんによって治療法が異なります。滲出性中耳炎は治るまでに時間がかかり、再発することも多い病気です。根気よく治療を続けることが大切です。

 

 

主な治療法

 

 

・局所治療

 

耳管通気・・・鼻から空気を送り込んで耳管の通りを良くします。

 

鼻咽腔処置・・中耳炎の原因になっている鼻の病気(副鼻腔炎・アレルギー性鼻炎など)を改善させます。

 

・薬物治療

 

抗菌薬・・・マクロライド系抗菌薬は抗菌作用のほかに、滲出性中耳炎の炎症を抑えることで、広く用いられています。

 

粘液溶解薬・・・分泌液をやわらかくし耳管から出やすくします。

 

・外科治療

 

鼓膜切開・・・中耳にたまっている分泌液を出します。

 

鼓膜チューブ留置術・・・再発を繰り返す時に行います。

 

アデノイド切除術・・・耳管をふさいでいるアデノイドを取り除きます。

  

 

*滲出性中耳炎は耳の治療だけでは治りません。中耳炎をおこしやすくしている鼻やのどの病気を治さないことには、再発を繰り返します。

 

 

 

 

 

慢性中耳炎

 

 

急性中耳炎が治りきらないまま放っておくと、鼓膜に孔があきます。そのままの状態にしておくと、再び中耳炎が起こったときに、中耳に溜まったものが耳だれとして出てきます。これを「慢性化膿性中耳炎」と呼びます。鼓膜に孔があいているため、難聴が起こります。

 

 

 

 

症状

 

 

慢性中耳炎の特徴的な症状は、耳漏(耳だれ)と難聴です。耳痛はあまり感じませんが、耳の奥を中心として重い感じがすることもあります。鼓膜には種々の大きさや形の穿孔があき、ほとんど鼓膜がなくなっている場合もあります。

 

 

 

 

 

 

原因

 

急性中耳炎はふつう、鼓膜が破れて膿が出るようになっても順調な経過をとれば鼓膜はすぐにふさがるのですが、鼓膜の穴(穿孔)が大きすぎて固定してしまったり、耳漏(耳だれ)がつづいて穿孔がふさがらなかったりすると炎症が長びき、慢性中耳炎になります。

 

鼓室の粘膜が乾燥していても、それは炎症が完全に治癒しているのではなく、小康状態に入っているのにすぎないことが多く、風邪などで容易に再燃して、耳漏の量が急に多くなったりします。これを慢性中耳炎の急性増悪といい、黄色ブドウ球菌や緑膿菌をはじめ多種多様の感染が考えられます。2種類以上の感染も少なくありません。治療しないと合併症をおこすことがあります。

 

 

 

 

 

 

 

治療

 

治療としては、耳漏(耳だれ)を取り除いて薬剤を中耳ヘ入れる方法や、のみ薬、ときには注射による薬物療法があります。

 

一般に鼓膜の中心に穴があって、そこから耳漏(耳だれ)が出たり、止まったりするタイプの慢性中耳炎は良性とされ、難聴などの症状も軽いようです。ただ、良性の中耳炎でも炎症を繰り返しているうちに耳小骨が次第に破壊され、重い難聴になることや中耳真珠腫に移行し、重篤な病気を併発することも十分考えられるので、早急に治療する必要があります。

 

慢性中耳炎を完全に治癒させるには、病巣を取り除くとともに鼓膜の穿孔をふさぎ、耳小骨の連鎖を修復する鼓室形成術という手術を行うしかありません。この手術により、聴力の改善も同時に期待できます